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第602回 人に技あり! 町の達人たち(23)
リポーター:西沢依里子
1997.5.9
テレビ和歌山番組「わかやまナウ」人に技あり!町の達人たちにて鱗水の木彫魚が紹介され
ました。工房は日本一の梅の里で有名な南部川村晩稲に構え、ちょうど梅の香り漂う5月の
最盛期に取材となりました。
和歌山では色んな物を作っている職人やアーチストたちはたくさんいます。その中でもこれは
今までにない変わりダネとして取り上げていただきました。
色んな材料となる木の中で特に拘った材を取り出し
材の選定が決まり木取りをしてから魚の形に帯鋸で
倉庫の天井に着くほど大量の材があっても実際魚に
そんな中でも特にこんな部分がおもしろい作品が出来
東京新木場のとあるショウルームにアクアリウム的な
クスで彫ったアユカケ
北三オーナー尾山さんと同じく木のことを熟知してい
完成された作品を眺めているとなぜか心が和みます。
集中力を欠かさず作業は深夜にまで及ぶ。 |
材料選びから完成まで撮影も無事終了しました。
今回の取材に当たり番組ディレクターの藤井さんには大変おせわになりました。特に撮影には
力を入れていただき作品が非常にきれいに写っていました。それからリポーターの西沢さんとも
楽しく語らいができたことどうも有難うございました。
2007.12.31現在私の作品が展示されていた北三ショールームはリニューアルされているため
今後作品が見ることができるかどうかは定かではないことをご了承ください。
テレビ朝日「トゥナイト2」の方から取材の依頼が入りました。
トゥナイト2は深夜の情報バラエティー生番組で司会は「ブルータス」「ターザン」「ガリバー」
など各誌の編集長を歴任する石川次郎、そして個性的なリポーターとして果敢に取り組ん
でいるのは山本伸也監督である。
キャスターの石川次郎さんと山本伸也監督
作品のカワハギをスタジオに持ち込み木彫魚について熱弁を振るう監督。
取材は日帰りの強行スケジュールでまずは私の作品が集まっている東京新木場の某ショ
ールームで作品を撮影、それから飛行機で和歌山県は南紀白浜に。車で出迎え機材類を
積み込みすぐさま私がよく行く京大水族館へ流れ込み観察シーンを撮る。
いつものパターンなのですが作品が見れるところと作業場(原木をカットしたり粗削りしたり
するところ)そして自宅の一室(仕上げをしたりするところ)が一箇所にないため取材のとき
はいつも大変なのです。
彫れそうで彫れなくて苦戦する監督と木内あきらさん
木材を置く倉庫はそんなに広くはないのでビルのように積み上げた材を見て「うわーっ!これ
全部彫るの?」と聞かれたのですが実は使える部分はこの半分にも満たないのですよと説明。
さていつも私がどのように製作しているのか実際に作業を実演するとともに監督と木内あきら
さんのお二方にも体験していただくことになりクスの木でサヨリを彫っていただくことにしました。
魚の形にカットしていたものからスタートしたのですが角を丸く削り落とすところからすでに悪戦
苦闘。うんと柔らかい材を用意しておいたほうがよかったかもしれませんね。でもクスのツンと
鼻を突く匂いが部屋中に充満していかにも彫刻をしてるって気分になりお二方は競う会うよう
にそれなりに楽しんでいただけたようです。
収録も終盤に差し掛かってきたところで帰りの飛行機の時間が迫ってきました。
ディレクター 「監督っ ! もう時間がありません。」
監督 「ちょと待つように言っとけ!」
さあ急がなくては。時間ぎりぎりまで粘ったため帰りの飛行機に間に合うかどうか危ぶまれま
したがなんとか空港に滑り込みセーフでした。
どうもご苦労様でした。
てなわけでトゥナイト2の収録は無事終了し後日テレビで拝見させていただくことになりました。
何とか魚の形にしたものを早速スタジオに持ち帰り少し自慢してみせる伸也監督
1992.9.24
ゴンベッサに魅せられて
![]() |
ゴンベッサとはシーラーカンスの生息地コモロ諸島周辺での呼び名
で「使えない魚」という意味であったがその価値が明らかになり高値で取引されるようになった現在では「幸運を呼ぶ魚」という意味になっている。
魚類学者末広恭雄氏を中心とするシーラーカンス学術調査隊による日本の第一号捕獲が1981年、
そして86年には世界で始めて海中遊泳の撮影に成功した。 |
彫刻のモデルとして
1981年12月31日第1号捕獲のものは体長177cm、重さ85sと立派なもので年が明け
て持ち帰ったシーラーカンスはマスコミで大々的に取り上げられました。
一般公開は晴海のフィッシングショウを皮切りに各地で行われたが実際に実物を見ること
が出着ていなかったので当初日本で唯一液浸標本されているという川崎市よみうりランド
海水水族館に足を運ぶことになりました。
この実物標本は1966年12月にコモロ諸島で捕獲されてもので、1967年フランス政府より
当時の読売新聞社社主正力松太郎氏に寄贈されたものです。
体長156cm・体重55kgの魚体はホルマリン漬けにされてはいるものの黒く分厚く堅い
鱗に覆われた体はまさに生きた化石の代名詞に相応しくその風貌からして恐竜と共に生
息した古代魚であることが確認できたのである。
と同時に彫刻のモデルとして不足はない。最高のものが出来そうと内心は熱いものを感じ
ていました。
いつかきっと作品として皆様の前でお披露目できると思っています。
よみうりランド海水水族館内シーラーカンス展示コーナーにて
1992.9.24
どう見ても魚類には見えないような各鰭
尾鰭の先端にさらに小さな鰭があるのが特徴です。
この液浸標本はよみうりランド海水水族館から2001年3月よりサンシャイン国際水族館
に移され展示されたあと2003年3月21日より下関市の海響館で現在一般公開されてい
ます。
森の博物館
生活の中で木はどう使われ、森の中で木はどう生きるか
稲本正著 小学館 B6
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著者は工芸家でありオーク・ビレッ
ジ主宰の稲本正氏。
本書は広葉樹や針葉樹などの木が生活のなかでどう使われているか、また森のなかで木は
どう生きているかについての話、樹や木さらにそれらから作られた様々な工芸品などが写真
とともに一冊の本にまとめられて木の好きなものにとっては非常に興味を注がれるものがある。
各材種別に性質や用途、作品など紹介されており「木の文化」というものをより多く知るき
っかけになるのではないかと思います。
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